2017年 追悼

「2017年 追悼」コーナー掲示
「2017年 追悼」コーナー本棚
「2017年 追悼」コーナー本棚
  • 大岡 信(おおおか まこと)さん

    1931年、静岡県生まれ。父は歌人の大岡博。東京大学在学中、日野啓三らと同人誌「現代文学」を創刊。53年読売新聞社に入社し、54年に谷川俊太郎や茨木のり子らの詩誌「櫂(かい)」に加わる。63年に退社後、本格的な創作活動に取り組んだ。主な詩集に『春 少女に』、『故郷の水へのメッセージ』、評論活動では『紀貫之』『うたげと孤心』などの代表作がある。日本の連歌の形式で海外の詩人と共同制作する「連詩」の創始者でもあり、79年から朝日新聞に連載した詩歌コラム「折々のうた」は、休載を挟みながら2007年まで計6,762回続いた。
    4月5日、死去。

  • 佐藤 さとる(さとう さとる)さん

    1928年、横須賀市生まれ。学生時代から童話の創作を志し、1950年、いぬいとみこさんらと同人誌「豆の木」を創刊。
    編集者として出版社に勤務しながら創作活動を続け、59年、小人の世界を描いた「コロボックル物語」シリーズの第一作となる「だれも知らない小さな国」でデビュー。毎日出版文化賞、児童文学者協会児童文学新人賞、国際アンデルセン賞国内賞を受賞した。以後24年かけて完結させたシリーズは世代を超えるロングセラーとなり、日本のファンタジー小説の祖と称された。2月9日、死去。

  • 杉本 苑子(すぎもと そのこ)さん

    1925年、東京生まれ。51年、「サンデー毎日」の懸賞小説入選をきっかけに、選考委員だった吉川英治に師事。63年に、幕府の権力に抵抗しながら治水工事を完成させた薩摩藩士の姿を描いた『孤愁の岸』で直木賞を受賞。
    歴史を社会構造からとらえ直す重厚な作品から江戸の市井の人々の姿を描いたものや芸道ものまで作品は幅広く、78年に『滝沢馬琴』で吉川英治文学賞、86年に『穢土荘厳(えどしょうごん)』で女流文学賞を受賞した。『マダム貞奴』と『冥府回廊』は85年のNHK大河ドラマ「春の波濤」の原作となった。02年には菊池寛賞と文化勲章を受けた。5月31日、死去。

  • ディック・ブルーナさん

    1927年、オランダ・ユトレヒト生まれ。53年『りんごぼうや』で絵本作家としてデビュー。55年にミッフィーシリーズの第1作『ちいさなうさこちゃん』を発表。日本では石井桃子さんの訳で64年に出版された。ミッフィーシリーズは50カ国以上で翻訳され、ぬいぐるみや映像などにもなった。暖かみのある線、鮮やかな色使い、想像力に訴えるシンプルで大胆な構成の作品で、世界中の子どもから大人まで広く愛され、120冊以上の絵本を刊行、発行部数は8500万部を超える。飢餓、貧困、病気から子どもたちを守ろうと訴えるポスターも描き、東日本大震災では涙を流すうさこちゃんのイラストで日本の子どもたちを励ました。2月16日、死去。

  • 葉室 麟(はむろ りん)さん

    1951年、福岡県生まれ。西南学院大学文学部を卒業後、地方紙記者などを経て、50歳を過ぎてから創作活動に本格的に入った。
    歴史文学賞を受賞した『乾山晩愁』で2005年に作家デビュー。西国の藩を舞台にした『銀漢の賦』で松本清張賞。12年に直木賞を受けた『蜩ノ記』は映画化もされた。16年には『鬼神の如く 黒田叛臣伝』で司馬遼太郎賞。歴史・時代小説のスタイルを取りながら、現代にも通じる「組織の中での個人」に光を当て、主人公の人としての誇りや意地を描き、多くのファンを得ていた。12月23日、死去。

  • 早坂 暁(はやさか あきら)さん

    1929年、愛媛県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、評論活動を経て脚本家に転じる。平賀源内を主人公にした斬新なスタイルのNHKテレビ時代劇「天下御免」(71~72年)で注目を集める。テレビでは他に「七人の刑事」「続・事件」「花へんろ」などを手掛けた。被爆直後に広島を訪れたことや、妹が被爆死した体験から、戦争や原爆問題に対する関心が高かった。NHKドラマ「夢千代日記」(81~84年)は広島で胎内被爆した温泉芸者の夢千代を吉永小百合さんが演じ、原爆への思いを静かに力強く表現。核廃絶を訴えて精力的に講演活動なども行った。12月16日、死去。

  • 林 京子(はやし きょうこ)さん

    1930年、長崎市生まれ。父親の赴任のため上海で育った。45年に母親らと長崎に引き揚げ、14歳だった8月9日、学徒動員で働いていた三菱兵器製作所で被爆。この被爆体験と、上海で支配者側にいたという自覚が、創作の原点となった。75年、原爆投下後の長崎の人々の経験と苦悩を、女子学生を主人公に描いた『祭りの場』を発表。加害者側の視点も冷静に盛り込んだこの作品で芥川賞を受賞した。著書はほかに『上海』(女流文学賞)、『三界の家』(川端康成文学賞)、『やすらかに今はねむり給へ』(谷崎潤一郎賞)、『長い時間をかえた人間の経験』(野間文芸賞)など。原子力と核の問題を粘り強く追い続けた。2月19日、死去。

  • 日野原 重明(ひのはら しげあき)さん

    1911年、山口県生まれ。聖路加国際病院名誉理事長。
    患者参加の医療や医療改革に向けての提言、終末医療の普及や「成人病」に代わる「生活習慣病」という言葉を提言するなど、医学・看護教育の刷新に尽力したことで知られている。1970年には、ハイジャックされた「よど号」に乗り合わせたことも話題となった。
    2000年「新老人の会」を結成。2001年に90歳で出版した『生きかた上手』が、120万部以上のベストセラーを記録し、広く世間に知られるようになる。2005年に文化勲章を受章。7月18日、105歳で死去。

  • マイケル・ボンドさん

    1926年、イギリス・ニューベリー生まれ。ロンドンの一家に引き取られたクマのキャラクターが騒動を繰り広げる「くまのパディントン」シリーズの作者。56年のクリスマスイブに売れ残っていたクマのぬいぐるみを妻への贈り物として買い、自宅近くの駅にちなんで「パディントン」と名付けた。その後、ぬいぐるみを主人公にした物語を書きはじめ、58年にパディントンシリーズの最初の作品を出版。シリーズは世界で40カ国以上に翻訳され、3,500万冊以上を売り上げる人気シリーズとなった。6月27日、死去。

  • まつい のりこさん

    1934年、和歌山市生まれ。子育ての中で絵本に関心を持ち、28歳で絵を学ぶべく武蔵野美術大学へ入学。自分の子どものために制作した手づくり絵本を出発点に、多くの絵本を出版。
    『ころころぽーん』でボローニャ国際児童図書展エルバ賞を受賞するなど、知識の世界をはじめとする独自の絵本を数多く出版。代表作に『じゃあじゃあびりびり』、「とけいのほん」シリーズなど。また、紙芝居では観客参加型の紙芝居世界を確立し、『おおきくおおきくなあれ』などの作品を手がけた。2月12日、死去。

  • 三浦 朱門(みうら しゅもん)さん

    1926年、東京生まれ。東京大学を卒業後、日本大学芸術学部で教えながら、同人誌「新思潮」で小説を発表。『画鬼』(『冥府山海図』に改題)で文壇デビューし、遠藤周作や吉行淳之介らとともに「第三の新人」として活躍した。1953年、作家の曽野綾子さんと結婚。
    戦争中住んだ場所をもとにした『武蔵野インディアン』で83年に芸術選奨文部大臣賞。保守的な言論で知られるが、近年は老いをテーマにした著書や曽野さんとの共著も多かった。85年、文化庁長官に就任。2月3日、死去。

  • わかやま けんさん

    1930年、岐阜市生まれ。グラフィックデザインの仕事を経て、絵本作家に。『きつねやまのよめいり』で第16回産経児童出版文化賞を受賞。70年から刊行の「こぐまちゃんえほん」シリーズは、累計954万部を上回るロングセラーとなった。うち『しろくまちゃんのほっとけーき』は293万部のベストセラー。「しろくまちゃん」がお母さんとホットケーキを焼き、「こぐまちゃん」にごちそうする物語。卵を落として割るなど失敗も経験しつつ、自分で作る楽しさや食べる喜びを伝えている。(本人の意向で2015年7月17日に亡くなったことを伏せられていたが、2017年7月に開催された原画展で公表された。)

  • 犬養 道子(いぬかい みちこ)さん
  • おかべ りかさん
  • 太田 昌秀(おおた まさひで)さん
  • かまやつ ひろしさん
  • 京 唄子(きょう うたこ)さん
  • 中村 雄二郎(なかむら ゆうじろう)さん
  • 野際 陽子(のぎわ ようこ)さん
  • 平尾 昌晃(ひらお まさあき)さん
  • 船村 徹(ふなむら とおる)さん
  • 松方 弘樹(まつかた ひろき)さん