イヌ×ネコ 七番勝負!

平成三十年は戌年!

「イヌ×ネコ 七番勝負!」コーナー陳列
「イヌ×ネコ 七番勝負!」コーナー掲示
「イヌ×ネコ 七番勝負!」コーナー本棚

十二年に一度のイヌが主役の年がやってきます。 しかし、十二支に入れなかったネコの存在を忘れてはいませんか?

津島市立図書館では、戌年を記念して、動物界の真のアイドル決定戦、「イヌ×ネコ」を開催します。

さて、あなたはイヌ派?それとも、ネコ派?
いざ、七番勝負のはじまりです。

一.文豪対決

  • 川端 康成(かわばた やすなり) 1899~1972

    大正から昭和にかけて活躍した近現代日本文学の頂点に立つ作家の一人。代表作に『伊豆の踊子』『雪国』等。1968年にノーベル文学賞を受賞。

    川端康成は「かわいいさかりの子犬を売るくらいなら原稿を書く」と言い切るほどの愛犬家として知られており、“犬を飼う=番犬”だった時代から、ワイヤー・フォックス・テリヤや、グレイハウンド等の珍しい犬種を飼っていました。
    1932年には『わが犬の記』というエッセイも発表(『日本の名随筆76「犬」』に収録)。「愛する犬のうちに人間を見出すべきではなく、愛する犬のうちに犬を見出すべきである。」など、文豪ならでは至言が書かれています。

  • 大佛 次郎(おさらぎ じろう) 1897~1973

    大衆小説『鞍馬天狗』シリーズや『赤穂浪士』、ノンフィクション『パリ燃ゆ』や史伝『天皇の世紀』などでも知られる昭和を代表する作家。

    大佛次郎は、「猫は生活になくてはならない優しい伴侶」と語り、生涯で500匹を超える猫と生活を共にした愛猫家として知られています。
    そんな猫たちを見て書いたのが、絵本『スイッチョねこ』。「私の一代の傑作」と語るこの作品は、子猫の「しろきち」があくびをしたとたんに、スイッチョ(虫)を飲み込んでしまい、お腹からスイッチョという声が聞こえることから始まるお話。とらねこのお医者さんが「ねつは あるかえ?」と言ったり、おかあさん猫が「どこへ いっておいでだえ」と言ったり、と言葉遣いにも“文豪”を感じさせるロングセラー絵本です。

二.エッセイ対決

  • 『走ろうぜ、マージ』 馳 星周(2004)

    デビュー作『不夜城』から、新宿・歌舞伎町など暗黒社会を舞台に小説を数多く発表してきた馳星周は愛犬家としても知られており、犬をテーマとした小説『ソウルメイト』『陽だまりの天使たち ソウルメイト2』も発表しています。
    『走ろうぜ、マージ』は末期がんに冒されていることが判明した愛犬・マージとの最後の夏を描いたエッセイ。最後の夏を東京ではなく、自然豊かな軽井沢で過ごさせてやりたい――。涙を誘う一冊です。

    他の犬エッセイ

  • 『ミーのいない朝』 稲葉 真弓(1999)

    2014年に死去した愛西市出身の作家・稲葉真弓は、猫と暮らした日々を綴った『ミーのいない朝』というエッセイを残しています。子猫を迎えて心弾む日々、そして離婚後のミーとの二人暮らし。少しずつ、けれど確実に訪れるミーの老い。それから看取るまでの静謐な日々――。あとがきには「いまだに私は新しい猫が飼えない。(中略)新しい猫を飼えば、夢が終わる。私は自分の中に流れた幸福を、ずっと抱いていたいのだ」。出逢いと別れを通じて、ペットを超えた深い絆を描く一冊です。

    他の猫エッセイ

三.児童書対決

  • 『フランダースの犬』 ウィーダ(1872)

    舞台は19世紀のベルギー・フランドル地方。幼い少年ネロと老犬パトラッシュとの出会いから、ルーベンスの絵画の前で息を引き取るまでの美しい友情を描いた作品。日本では、1975年に「世界名作劇場」でテレビアニメが放送されて人気となり、最終回の視聴率は30.1%を記録しました。しかし、作品の舞台となったベルギーではほとんど無名の作品であり、アメリカでは「残酷すぎるから」と、ネロもパトラッシュも死なないハッピーエンドに書き換えられた映画が製作されたそうです。

    他の犬絵本・児童書

  • 『ルドルフとイッパイアッテナ』 斉藤 洋(1987)

    飼い猫として岐阜で暮らしていた黒猫ルドルフは、ひょんなことから長距離トラックに乗って東京にやって来てしまいます。そこで出逢ったのが兄貴分の虎猫・イッパイアッテナ。ルドルフは、彼と一緒に生活しながら成長していきます。
    「黒ねこがえんぎが悪いなんて迷信だ。そんなことをいまどき信じるのは、教養がねえしょうこさ。」「できないやつをばかにするなんて、最低のねこのすることだ」など、大人にもグッとくる名言もたっぷり!30年にわたって愛される児童書です。

    他の猫絵本・児童書

四.ふれあい対決

  • 『犬部! 北里大学獣医学部』 片野 ゆか(2010)

    広大な自然に囲まれた青森県十和田で、行き場を失った犬たちを救うために奔走する大学生たちがいます。
    彼らは、北里大学の獣医の卵たちによる動物保護サークル「犬部」。人間のわがままの犠牲となり、心も体も傷ついた動物を保護し、辛抱強く新しい飼い主を探す――。
    捨てられた犬たちを救うため、雨の日も雪の日も不眠不休で向き合う部員たち。命と正面から向き合う一途な姿が胸を打ちます。

  • 『図書館ねこデューイ』 ヴィッキー・マイロン(2008)

    凍えるような寒い冬の朝、アメリカ中西部にあるアイオワ州スペンサー図書館の職員ヴィッキーは、返却ボックスの中で震えている仔猫を発見します。図書館評議会と市議会の承認を得て、同図書館の正式な職員となった猫は人なつこい性格と愛らしい仕草で人気者となり、やがて不況にあえぐ町の人々の心のよりどころとなっていきます。ちなみに、「デューイ」という名前は、図書分類法であるデューイ十進分類法の考案者として知られる「メルヴィル・デューイ」の名前から取られているそうです。

五.ミステリ対決

  • 『パーフェクト・ブルー』 宮部 みゆき(1989)

    地元の高校野球のスター・諸岡克彦が、謎の死を遂げます。俺、――元警察犬のマサは、現在の飼い主、蓮見探偵事務所の調査員・加代子と偶然その場に居合わせた克彦の弟・進也は、真相究明に乗り出します。
    犬の一人称という斬新なスタイルで、社会的なテーマを描いた宮部みゆきの記念すべき長編デビュー作。続編『心とろかすような マサの事件簿』もオススメです。

  • 『猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち』 大山淳子(2012)

    「猫の弁当」の話ではなく、「猫がいっぱいいる弁護士事務所」の物語。婚活中の弁護士・百瀬太郎の元には一風変わった依頼が持ち込まれます。
    とにかくどんな依頼でも引き受けて、共に考え、解決の道を探したい!黄色いドアの向こう側で、人と猫との幸せを考えるハートフル・ミステリ。シリーズ全5作で累計40万部を突破している人気作です。

六.古典対決

  • 『南総里見八犬伝』 曲亭 馬琴(滝沢馬琴)(1814)

    室町時代後期を舞台に、仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の八つの徳の玉をもつ八犬士を中心に、安房の里見家の興亡を描いた伝奇小説。勧善懲悪に貫かれた雄大な構想をもつ江戸読物の代表作といわれています。初輯刊行(1814)から完結編刊行(1842)まで、28年の月日をかけ、完成が近づいた時に75歳の馬琴は失明してしまいますが、口述筆記により物語を完結させます。また、馬琴はほとんど原稿料のみで生計を営むことができた日本で最初の著述家ともいわれています。

  • 『吾輩は猫である』 夏目 漱石(1906)

    「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」――あまりにも有名な書き出しで始まる作家・夏目漱石のデビュー作。中学校の英語教師・苦沙弥(くしゃみ)の家で飼われている猫の視点から、人間模様を面白おかしく描いています。主人公「吾輩」のモデルとなったのは、夏目家で迷い込んだ猫。この猫が死亡した際には、親しい人たちに猫の死亡通知を出して裏庭に埋め、白木の角材に漱石自ら「猫の墓」と記し、「此(こ)の下に稲妻起こる宵あらん」という一句をしたためたそうです。

七.短編小説対決

  • 『ワンダフルストーリー』
    伊坂幸郎、崎梢、木下半、横関、貫井ドッグ郎(2014)

    当代きっての人気作家5人が「犬」にちなんだペンネームに改名して夢の競演!
    昔話でおなじみの犬の裏話や、「犬吠埼」で繰り広げられる物語、悪人が連れてきた犬や、人のために働く盲導犬の抱える秘密、そしてやたらと見つめてくる犬の謎とは……?
    個性豊かな犬たちが主人公の「アンソロジー」ならぬ「ワンソロジー」です。

  • 『ブランケット・キャッツ』
    重松清(2008)

    『ビタミンF』『流星ワゴン』などの小説で知られる重松清による全7話の短編小説。生まれた時から使っているブランケット(毛布)と共に2泊3日だけ我が家に「ブランケット・キャット」がやって来ます。
    リストラされた父親が家族のために借りたロシアンブルー、いじめに直面した息子が選んだマンクス、老人ホームに入るおばあちゃんのために探したアメリカンショートヘア……。猫たちが贈る心温まる物語。2017年6月にはNHKでドラマ化されました。

まだまだあります、犬・猫の本